ぬる湯温泉の発見については詳らかではありませんが、里民の言い伝えなどによると享保年間(1716~1735)には存在が知られていたようです。深山幽谷で利用する者は稀であり何人か所有者が替わりましたが、二階堂家が所有するのは、享和3年(1803)のことで、当家の祖「傳四郎」が桜本村(現在の福島市)の「定平」より買い受けたとの伝えがあります。
その後、利用者の便を図るため代々設備等を整えてきたところですが、四代目「清三郎」の時に明治戊辰(1868)の戦役が起こり、官軍側の兵によって全て焼却されました。その後真っ先に再建されたのが「茅葺き」の古家棟で、明治5年(1872)頃の建築と伝えられています。歴史的にも貴重な建物であり平成29年(2017)には国登録有形文化財となっています。九代目の現当主「二階堂哲朗」が令和4年(2022)に茅屋根の葺替えを行いましたが、ちょうど築150年目に当たります。
(ぬる湯温泉・旅館二階堂のパンフレットより)